広島県最南端の倉橋島で、父の代から続くひじきや牡蠣などの海産物加工販売を営んでいます。代表の小平大助様は、20代後半で事業を継承して約12年になります。先代の頃に比べると収穫量は減りましたが、現在は働き方に合わせて船の規模を調整し、一人で切り盛りできる体制で運営しています。
山陽丸水産の大きなこだわりは、ひじき加工における「鉄窯」と「薪」の使用です。
市販の多くがステンレス窯で炊き着色されていますが、同社では鉄窯で炊くことで、着色せず自然な黒色に仕上げ、鉄分も豊富に含ませています。収穫時期によって異なるひじきの状態を見極め、火加減や余熱まで計算して仕上げる作業は非常に過酷ですが、この伝統的な製法を守り続けています。
また、時代の変化に合わせて、調理の手間がかかる乾燥ひじきだけでなく、解凍して味付けすればすぐ食べられる「釜揚げ状態」のパックをスーパーに提案するなど、お客様のニーズに合わせた商品展開を行い、売上を伸ばしています。
商品の成り立ち
受賞商品の「ちりめんせんべい」は、工場設備を整えた際に「作ってみよう」という軽いきっかけからスタートしました。原料には地元・倉橋産のちりめんにこだわり、試行錯誤を重ねて商品化に至りました。当初の予想を上回る好評を得て、現在では品切れが続くほどの人気商品となっています。
こだわり・製法
材料はシンプルにちりめんのみで、味付けもちりめん自体の塩分を活かしています。
丸い型に一定量のちりめんを一つずつ手作業で並べ、プレスして焼き上げます。厚みや量によって食感が変わるため、パリパリとした絶妙な食感になるよう調整を繰り返しました。
水分や塩分の調節が非常に難しく、設備の維持費もかかるため、一人で作れる量には限界がありますが、この繊細な工程が他にない美味しさを生んでいます。
以前から周囲に勧められていたことが大きなきっかけです。2年間の出品を経て、今回初めての受賞となりました。
自慢の食感がどのように評価されるか確かめたいという思いもありましたが、グランプリを獲得できたことは素直に嬉しく感じています。
受賞による反響は大きく、東京で出会った大手企業の方から大量注文をいただくなど、新たな販路が広がりました。
また、昔からのお客様からも高い評価をいただき、口コミで「薄くてパリパリしておいしい」「内容量も多くて嬉しい」といった声が広がっています。
今後は、観光客が多い宮島の飲食店へ牡蠣を卸している縁を活かし、直売店舗の展開や海外向けの商品開発、牡蠣の佃煮などのお土産品作りにも挑戦したいと考えています。
最大の課題は人手不足です。夏場の過酷な環境下での専門作業を担える人材確保が難しく、「売れても作れない」という現実もあります。
クレワン・グランプリの受賞をきっかけに、事業や商品の魅力が広く伝わり、共に伝統の味を守り、盛り上げてくれる仲間が現れてくれることを期待しています。